なぜロゴが必要なのか?

日頃よりブランディングを軸に、ロゴ(シンボルマーク, ロゴタイプ)の制作にも多く携わらせていただいております。その中には既にロゴを持たれているお客様もいらっしゃれば、持たれていないお客様もいらっしゃいます。
もちろん、ロゴの制作依頼だけではありませんが、今回はブランディングの観点からも重要な位置付けとなる「ロゴ」を軸に少しだけ書かせていただこうと思います。

【 なぜロゴが必要なのか?】

いきなりですが、なぜロゴが必要なのでしょう。これは多くの方々が直面する疑問だと思います。
お恥ずかしながら、私も完璧な答えを持ち合わせてはおりません。とは言え、矛盾しているようですが、確実にロゴが必要であることをご説明し、充分なほど納得していただいてから制作を進めさせていただいております。
では、なぜこんなにも理由が曖昧になってしまっているのか。それは “効果や成果が直接、分かり易い形となって現れないもの” だからだと思います。更に付け加えてしまえば “いままで誰も意識して考えたことが無いから” です。これは私に限らず、多くの方が説明や理解に苦しむ問いなのではないかと思います。

ではこの機会に ” なぜロゴが必要なのか?” について、ひとつずつ考えてみましょう。

先ず、あなたがロゴの必要性について考える(興味を持たれる)ということは「多くの人々に何かを伝えたい」「多くの人々に選んでもらいたい」と思っているモノがあるからではないでしょうか。そして「伝えたいモノ」「選んでもらいモノ」とは “商品” であると言えるでしょう。商品というのは、形あるものだけではなく多種多様ですが、今回は分かり易く理解する為にも、目に見えるものをイメージしていただくと分かり易いかも知れません。
よく行く近所のコンビニやスーパーで売っているようなものでも良いですし、店舗販売をされているような方は店頭にある商品を想像してみていただければ良いと思います。

■ 商品を 「欲しい!」 と思うキッカケ
ふと立ち寄った店先で「あっ!」っと思う瞬間があると思います。「あっ!」でも「おっ!」でも「えっ!何!?」でも構いません。商品と出逢う瞬間は常に一瞬で、その商品を見たり手に取ったりして、なぜか我々は「欲しい!」と思うのです。ただ、商品を見てから “欲しい!” と思うまでに理由(理屈)はまだ存在していません。実はココが重要なところです。
なぜなら、商品を 「欲しい!」 と思う感情と、商品を 「買おう!」 と思う感情は、別のところにあるからです。

■ 「欲しい!」と思わせるには何が必要?
では、何をもって我々(消費者)は、商品を 「欲しい!」 と思っているのでしょうか。
興味を持って商品を目にしたり、手に取った瞬間に我々は無意識に品定めをしています。 “この商品なら安心して使えそうだ!” とか “そっちの商品よりも、こっちの商品のほうがシッカリしていそうだ!” とか、もっと単純に “コレめちゃくちゃ格好いいじゃん!” みたいに。
では、その品定めは何の為に行われるのでしょう… それは 『信用できるものであるかを量るため』 です。
商品に対して、信用(信頼感)が生まれると、人は「欲しい!」と思うのです。
「欲しい!」の正体の大半は 『信用』 なのです。

■ 信用を 「得る」 ためには何が必要?
前述したように、商品を選んでもらい、商品を欲しいと思ってもらうために大事なことは 「信用してもらうこと」 だということが分かりました。では、どのようにすれば信用してもらえるのでしょう…。実は、以外にも答えはシンプルで、消費者に対し 『安心感を与えること』 なんです。
ちょっと考えてみてください。あなたが商品を購入する際、何を基準に選んでいますか。
「価格」「素材」「堅牢性」「柔軟性」「安全性」「保証」など様々な判断基準があると思いますが、これらは全て 『安心できるものなのか』 という査定をしているのです。もちろん、殆どが “無意識” のうちに。

■ お客様に 「安心」 を提供するには?
もうここまで来れば残りは一つです。
商品に対してお客様に 「安心感」 を抱いてもらう為に必要な要素とは何でしょう。
そうですね、それが「ブランド」ということになります。ここで言うブランドとは、広い意味での “ブランド” です。どちらかと言えば、振りかざすようなブランドではなく、皆さんの中にある “ブランド感” です。
では、ちょっと想像してみてください…

・セブンイレブン
・ユニクロ
・アップル
・パナソニック
・資生堂
・トヨタ
・シャネル
・ロレックス

それぞれに何かイメージできましたか?
「品揃えが豊富でありながら安価だ!」とか「デザイン性と安定性に秀でている!」とか「細かいところにまでケアが行き届いている!」など、それぞれの特徴が浮かんだと思います。いや…それよりも先に 「ロゴ」 が浮かんだ方がいらっしゃるのでは無いでしょうか。
逆を言えば、ロゴを見るだけで「この店は品揃えが豊富でありながら安価なブランドだ!」とか「デザイン性と安定性に秀でているブランドだ!」と想像できると思います。

これが “ロゴ” の役割です!

…当たり前ですが、商品そのものが良いという前提での話ですよ(悪いものを何とか誤魔化すために周りばかりを固めても、簡単に見破られてしまいますからね)。
そのようにして、ブランド価値や特徴が消費者に伝わると、次回からはそのロゴが最大限に生きてきます。次はロゴを見るだけで、上記に挙げたブランドのように「あっ!このブランドは○○だから安心だ!」となるのです。
ロゴの役割の9割以上は 『ブランドイメージ』 を視覚化して伝える為にあります。

という訳で、なんとなく 「ロゴの必要性」 が分かっていただけたでしょうか。
必要性だけでなく、いかに 「重要」 なのかということが。

最後に…

■ 「欲しい!」 を 「買おう!」 にする為には?
ずっと置き去りにしてしまっていた「買おう!」と思わせる感情について説明させていただきます。
先程 “「欲しい!」 と 「買おう!」 の感情は別のところにある” と言いました。では 「欲しい!」 と思わせたものを 「買おう!」 と決断させる為には何が必要なのでしょうか。
それが 『広告』 です。チラシみたいなものだけでなく、店頭にある 「いまだけ○○%OFF!」 とか 「無くなり次第終了!」みたいなコピーもそれに当たります。
「欲しい!」 と思ってもらえれば、必ず購入してくれるだろうと思うかも知れませんが、実際はそうではありません。皆さんも日頃経験していると思いますが、欲しくても購入する為には 『理由』 が必要なのです。言い方が悪いかも知れませんが、この理由を自分に言い聞かせることで購入に至らせているのです。
その為に重要なのが、この広告なのです。
すると…
「これは安心(信頼)できる商品だ!更にいま買えば通常よりも安いから買っておこう!」となります。
「これは安心(信頼)できる商品だ!ここで買いそびれたら二度と手に入らないかも知れないから、いま買っておこう!」となるのです。

あくまでこれらは 『ロゴ』 についての一端ですし、ロゴはブランディングの一部に過ぎません。
理解が難しく成果の判断が明確では無いだけに、必要性や重要性、更には双方の金銭面の解釈にも大きなズレが生じているのが現状ですが、商品を提供する方々にとっては欠かせない要素であることは間違いありません。
この場で自社の営業をするつもりはありませんが、改めて皆さんのブランドについて考え直すキッカケになれば幸いです。
本当に必要なデザインは 『ブランディング』 が基本です。どんなに良い商品があって、どんなに立派な店舗があって、名刺やカタログやホームページに凝ろうが、それが(正しく)伝わっていなければ、それは “無い” と同じだと思うのです。

長文、駄文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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