「VoLTE」 とは何ぞや?

いよいよ docomo が来月(6月下旬)からサービスを開始する「VoLTE」ですが、同社は夏モデルに6種の対応端末を発表しました。
しかし「”VoLTE”って何?」という方も多く、これからのスマホには欠かせないものとなりそうなので、この機会に「VoLTE」について簡単に説明させていただこうと思います。

① <何て読むの?>

「VoLTE」と書いて、そのまま 『ぶいおーえるてぃーいー』 と読みます。
ただし、これを日本のキャリアは「ボルテ」というサービス名称に設定して展開するようであります。この日本独自の呼び名がまた厄介なことになりそうなのですが、いずれにしても日本国内では「ボルテ」という呼称が主流になってしまうなるでしょう。
海外の方々からすれば「???」なのは間違いありません。

 

② <「VoLTE」って何なの?>

● 「VoLTE」は “Voice over LTE” の略です。
即ち 『LTE回線を使って、音声通話を行う技術』 ということになります。

 

③-① <もっと具体的に分かり易く教えて!>

● 現在のスマホは、電話の音声通話と、ウェブサイト閲覧やメールなどといった通信を、別々の方式で行っています。
電話(音声通話)は 「回線交換方式」 という技術で通信が行われ、ウェブサイト閲覧やメールは 「パケット通信」 という技術で通信が行われています。
・回線交換方式の特徴は、自分と通信相手の回線接続を限定的かつ継続的に行う。
・パケット通信の特徴は、データをパケット単位に小分けして、個々のデータが回線を独占することなく断続的に行う。
…という特徴があります(下図参照)。

packet

※パケット単位で通信を行ったほうが、あらゆる面で無駄の無いデータのやりとりが可能となります。

 

③-② <なぜ音声もパケット通信を使わなかったの?>

● パケット通信のほうが便利なのであれば 「なぜ今まで、電話(通話)もパケット通信を使わなかったの?」 と疑問に思いますよね。その理由としては、従来のパケット通信技術では音声通話に支障をきたしてしまっていたからです。
代表的な症例として “通話中に頻繁に切れてしまうことがある” とか “通話時に雑音が混じる” などといった症状です。やはり「電話(音声通話)」というもには、一定の安定した接続が求められます。日常の通話だけでなく、万が一の緊急電話にも対応しなければなりません。こんなとき、頼りない通信をされてしまっては困りますからね。
要するに、技術の進歩によって、よりスピーディーでエラーを最小限に抑えられる通信網ができた!それが「LTE」なのである、ということです。

 

④ <LINEやSkype、FaceTimeとはどう違うの?>

● スマホと向き合う時間の大半はコイツなのではないか…という程、多くの方が利用している「LINE」ですが、LINEにもパケットを利用した音声通話機能があります。更に世界的に利用されていて馴染み深い「Skype」や「FaceTime」も、同じようにパケットを利用した音声通話サービスで、これら以外にも様々なパケット通話サービスが存在しています。
いまさら「VoLTE」と格好つけて展開しなくても、既に同じように利用できているじゃないか~!と思われる方も少なくないでしょう。
では、これらと「VoLTE」はどう違うのか? 違いがあるとすれば、VoLTEを利用するメリットは何なのか? それらについて解説いたします。

先ず、大きな違いは「通信キャリアが提供するサービス」であるか「第三者(その他)の企業が提供するサービス」であるかの違いです。
VoLTEは、docomo, au, SoftBankといった、自ら回線を持つ事業者(キャリア)が提供するサービスとなります。それに対してLINEやSkypeは、キャリアではない企業が提供しているサービスです。
例えば、FaceTimeはAppleが提供するサービスというように。

 

⑤ <通信優先度?>

● では、キャリアがサービスを行うことで、どんなメリットがあるのでしょう。
第一は何と言っても「通信優先度(正式な名称は不明)です。実は、LTEの通信網には優先順位が設けられています。その中で最も優先順位が高い位置に「VoLTE」が分類されます。
例えば、SafariやChromeでウェブサイトを閲覧中に電話が掛かってきたとします。そのとき、もし電話が優先されなかったら大変なことになりますよね。
逆に、こちらが緊急電話を掛けたい場合など、他のパケット通信を後回しにしてでも、通話を優先してもらえなければ大変なことになってしまいます。
しかし、LINEやSkype、FaceTimeは、SafariやChrome、Mailと同等の優先度なので、緊急時などを想定した品質や信頼は劣ってしまうのです。

● もう一点は「キャリアが提供するサービスだからこその品質」という点です。
当たり前ですが、VoLTEはキャリア各社が、自社の回線網を使用して提供するサービスで、その品質が「=(イコール)」でキャリアの品質になります
これを疎かにするキャリアはありませんし、もしそんなことをすれば、キャリアの信頼はガタ落ちでしょう。
ですから、VoLTEの通話品質は少なくともLINEやSkypeのような、他のパケット通話サービスよりも格段に通話品質が良いということです。

 

⑥ <どのようにVoLTEサービスを利用すればいいの?>

● VoLTEの良さが分かれば、直ぐにでも使いたくなるでしょう。
docomoは来月からの提供を発表しているだけに、ワクワクしているかも知れませんが、サービスを受ける為には最低限の条件も必要になります。

・「VoLTE対応端末」であるということ。
VoLTEは、従来端末の約2倍程の処理能力とバッテリー消費が見込まれているようで、現在皆さんがお持ちの端末スペックでは、ちょっと厳しいのではないかということと、専用の基盤や回路を使用して処理を行うことから、VoLTE対応端末でなければ利用できないことになっております。
docomoが夏モデルで6端末をVoLTE対応端末としたように、今後発表される新端末を利用するのが最低条件となりそうです。

・料金プランについて
先日もdocomoが新料金を発表したように、これからもキャリア各社が新たな料金プランを展開してくることは間違いないでしょう。
実際に料金体系を俯瞰的に見てみると「…あれ?」と思われた方も多いかも知れません。例えば、月額として固定料金を支払うだけの通話し放題のプランがあったりします。一部のユーザーにとっては確かに魅力的なプランなのですが、最近よくある「電話やメールは全てLINEだぜ!」というユーザーにしてみたら、どうしてこんなに通話料金を支払わなくてはならないのか不満の料金プランとなるでしょう。
このように、様々な観点から見ていくと現時点では一長一短な状態で、それらがフワッとした状態(選択の猶予がある状態)で漂っています。
あくまで予想ですが、VoLTEが本格的にサービス展開する頃には、ほぼ強制のプランとなり、選択の余地はなくなるかも知れません。
もしくは、更なるVoLTEプランが発表されるでしょう。
キャリアとしては、VoLTEを提供することで自社の回線に再度引き込み、一定の料金を徴収するモデルを形成する必要があるからです。

 

…と、なんとなくお分かりいただけたでしょうか。
VoLTEの回線詳細等、出来る限り難しいことは敢えて避けましたが、それでも難しい内容だったかも知れません。
それでも 『へぇ~、いままでの回線ではなく、LTEのパケット通信を使って電話が出来るようになるんだ~』 くらいは分かっていただければ、これから来る新たなスマホ時代にも違和感なく入っていけると思います。

ユーザーにとっては、難しいことは隠して、便利で安価で高品質なサービスを展開してくれれば良いだけのことですけどね。

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